[現在の研究分野] 

(1) 長鎖アルキル基を有する可溶性ポリイミドの合成と物性

(2)側鎖に長鎖アルキル基を有するポリイミドへの光照射による表面濡れ性制御とフレキシブルエレクトロニクスへの応用

[研究概要](平成6年4月〜現在まで)

 

 ポリイミドは耐熱性に優れているが、半面、溶解性が劣るため、薄膜用途においては、塗布法による薄膜化が容易な溶媒可溶型が望まれる。筆者は脂環式テトラカルボン酸無水物、長鎖アルキル基を有するジアミンモノマーを用いることで、耐熱性をさほど低下させることなくポリイミドに可溶性を付与することに成功した。特に長鎖アルキル基を有する可溶性ポリイミドは(1)液晶配向膜、(2)光反応性ポリイミドとして応用可能であり、マイクロエレクトロニクスの分野で企業などから着目されている。

 光反応性ポリイミドはUV光の照射により長鎖アルキル基が切断される性質を利用したもので、筆者らの研究による側鎖に長鎖アルキル基を有するポリイミドUV照射前後のポリイミド表面の水に対する接触角は100°→ 20°程度まで低下し、撥水性から親水性へと大きく変化する。即ち、印刷法によりフィルム化が容易な溶媒可溶型で、併せて光照射により表面濡れ性がコントロール可能と言う特徴を持つポリイミドが得られている。応用として電子ペーパー、大面積センサー、液晶ディスプレイ等を作製するための光照射でパターニング可能なポリイミドフィルムが挙げられ、特に水溶性有機半導体をパターニングする際に有効であることが予想され、所謂、フレキシブルエレクトロニクス分野への応用展開が期待されている。

 

これまでに開発した長鎖アルキル基を有するジアミンモノマーの構造例を以下に示す。