危険予知
作業毎にどのような危険が予想されるかを列挙します。
木材を削る作業が中心です。大きな事故が起きる可能性は低いですが、鋭い刃物や木材のささくれにより、細かな手指の傷はつくりやすい作業です。全般的な危険度が低いことから、夏季には作業着の上着を脱いで作業をすることを認めています。
- 刃物による切りきず、刺しきず(腱や目をケガした場合は後遺症の危険もある)
造型、溶解、鋳仕上げの3つの段階に分かれており、危険度や考えられる危険に大きな違いがあります。
2.1 造型
模型を使って砂に模型を反転させた形状の凹みをつくる作業です。比較的安全な作業ですので、夏季には上着を脱いで作業できます。
- 鋳型にガス穴をあけるため用いる針状の道具で手指を貫通する、目などを突く
- 道具の上に転ぶ、手や尻を着く
- 砂や塗型と呼ばれる黒鉛の粉が目に入る
- 鋳型(25kg程度あります)を足に落とす、腰を傷める
2.2 溶解
溶かした鉄を鋳型に流し込む作業です。実習のあらゆる作業の中で最も危険と考えられています。
- 溶けた鉄に触れる、こぼす(大火傷、死亡する危険)
- 火の粉や溶けた鉄の飛沫が服や靴の中に入る(驚いて別の事故を誘発)
- こぼれた鉄を踏む(大概はすぐに気付くが、踏み続ければ足の裏を火傷する)
- 鋳型をばらすときに手を火傷する
- 溶けた鉄を凝視して目を傷める
- 高温の部屋での熱中症
- 鋳型や重石、原料を足に落とす、腰を傷める
- 粉塵やコークスの燃焼排ガスを吸入して喘息発作などを起こす
2.3 鋳仕上げ
製品から不要な部分を取り除く作業です。グラインダを使いますので事故の起きやすい作業です。
- グラインダの砥石破損(高速で石が飛んで来るため死亡事故の危険がある)
- グラインダへの衣服、頭髪の巻き込み(死亡事故)
- グラインダへの指などの巻き込み(多くは擦り傷程度だが指を失う危険もある)
- 粉塵などの目への飛び込み(勢いが良く失明の危険あり、鉄片が眼球に入ると手術の必要あり)
- 粉塵の吸入
- ハンマーのねらいを外して打撲
ハンマーを振るい、熱した鋼を打って形を変える実習です。火炎で材料を加熱するため部屋に空調がなく、他の実習と比べて熱中症の危険が高いことに注意が必要です。
- 熱中症(これまで軽度事例多数あり、近年はあまり起きていません)
- 火傷(ほとんどは指先、衣服に着火すれば死亡事故の危険もあり)
- 粉塵や打撃により飛散した鉄片の目への飛び込み
- 粉塵や粉炭の燃焼排ガスを吸入して喘息発作などを起こす
- ハンマーのねらいを外して打撲
- 土間の凹凸に足をとられて転倒
高温により鋼を融かし、接合したり切断したりする実習です。熱源に電気を使うかガスを使うかで予測される危険の内容が変わってきます。いずれの方法も床にホースやケーブルを這わせて作業するため、足をひっかけることによる事故の誘発に注意が必要です。
4.1 電気エネルギによるもの(被覆アーク溶接、エアプラズマ切断)
- 感電(衣服が濡れている場合などでは死亡事故の危険あり)
- 粉塵・フュームの吸入
- 火花や粉塵の目への飛び込み
- 強烈な紫外線による眼障害・皮膚障害(被覆アーク溶接)
- 火傷(溶接中より、溶接後の高温の材料や器具に触れることによる火傷が多い)
4.2 ガスによるもの(ガス溶接、ガス切断)
- 爆発・火災(大惨事につながる可能性がある)
- 火花の目への飛び込み(初心者は小さな破裂を起こしやすく危険)
- 火傷(火炎が長く大きいため被覆アーク溶接より危険)
旋盤、ボール盤、フライス盤、ホブ盤、円筒研削盤を扱います。いずれもモータの力で動く回転機械ですので、機械への巻き込み事故と切りくずの飛散に最も警戒する必要があります。
- 機械への巻き込み(死亡や腕、手、指の切断など重大事故につながりやすい)
- 切りくずや機械油の目への飛び込み(速度が高く高温で鋭いため失明の危険が高い)
- 飛来物(割れた砥石やチャックハンドルなどでは死亡事故も起きる)
- 切りくず、ばり、鋭い部分による切り傷(特に切りくずやドリルの刃でケガをすると治りにくい)
- 薄い材料が回転して襲ってくる(特に薄い板にボール盤で穴をあける作業が危険)
- 転倒(機械油を多用するため滑りやすい)
手作業により鋳物の表面をはつり取る、金属の寸法を微調整して表面を平滑にする、穴にねじ山をつけるなどの実習をします。比較的危険度の低い作業ですので、夏季には作業着の上着を脱いでの実習を認めています。
- はつり作業のハンマーのねらいを外して打撲(これはほとんど不可避)
- 金属粉などの目への飛び込み
- たがねではつり取った欠片が飛んで目に入る
- やすりがけして出た金属粉を息を吹きかけで除こうとして目に入る
- 穴にハンドタップを入れるときに切りくずが飛ぶ